あえて線引きをすることで、状況の傾向や構造がみえてくるものである。そして線引きして複数の文化を比較することによって見えてくるそれに違和感があれば、線引き自身の妥当性を検討すればいい。線引きすることを怖がってはいけない。ヨーロッパ文化も日本文化も、それらの文化を再定義する自由が誰にでもある。
この文化の定義をそれ自身が行うことに意味があると思うのです。コンテンポラリーアートの村上隆が長谷川等伯ではなく伊藤若冲を自分の源流として取り上げ、自分なりの日本美術の流れを再構成したように、あるいはイタリア陶器メーカーのCOVOがヨーロッパで受ける日本風の食器をデザインしたように、相手の姿を自分なりに見極め、同時にその相手に対して説得性をもつために自分の姿を見直しをすることが重要です。
村上隆が、漫画やアニメといえど、その文化背景説明なしに外国に輸出しても一過性なものにしかならないと書いていますが、単に「アニメが受けた」という事実をもってアニメ輸出促進を図るのではなく、そのアニメが受ける理由と地域の文化をスタディをすることが優先させられないといけないと思います。そして、どう説明が不足しているか?を自覚的にみないといけないでしょう。
トヨタが2005年周辺よりレクサスをL- finessというデザインポリシーのもとで世界統一戦略を図り、この戦略が失敗に終わったことは多くの人が知るところです。そして、この6月の新社長記者会見で地域重視の商品戦略に変更せざるをえないことを発表しました。以下の中身の意味するところは小さくありません。
地域、すなわち、「マーケットに軸足を置いた経営」です。お客様やマーケットを直視し、マーケットの変化を捉え、その現場を熟知した人が迅速に判断する経営です。今回の副社長体制では、こうした考え方から、各副社長は地域の責任者となります。
「アニメが世界でクールだ」などという分けの分からない発言を繰り返し、ズブズブと自分の位置が沈下していくことに気づかない・・・そういう事態を回避すべきです。ローカライズにあまり手をかけなくても受け入れてくれる地域もあるし、ローカライズがなければまったく相手にしてくれない地域もあるでしょう。それを他人の受け売りではなく、自分自身の見方で勘をつけていくことです。
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