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2011年8月28日日曜日

イノベーション議論と南欧の考え方





今日、東大のi.school の夏のシンポジウムが開催された。ミラノにいたぼくは、その場で何がどう語られたかを、Twitterやブログを通じて読むしかない。それらから推測できることは、ただ一つ。南欧的な考え方の適用がイノベーションの議論のなかで行われているのでは?ということだ。だから、恐ろしく久しぶりに、このヨーロッパ文化部ノートに書き留めておこうと思った。

直観思考と分析思考のどちらにも旗を立てない発想は、そもそも南欧の強みで、常にそれを南欧の人たちは主張してきた。「こういうことをカナダの大学の人が言っているよ」と南欧人に話しても、「それで、いまさらなんなの?」という反応が返ってくるのがおちだ。適量的なデータにいつも疑心暗鬼であり、そうしたデータに基づいた企画書に敬意を払わないー少なくても、自分が推進する場合ー。プロジェクトの最初の段階は、ある直観とそれを共有する言語化されたロジックーそれもプリミティブで一向に構わないーでスタートする。

論理的であるとは、近代の数学的な論理性を指すのではなくー北の冷たい論理ではないー、もっと緩やかなものを言っている。毎日の生活で「説得性をもつ」というレベルでの論理性だ。そういう「南欧の論理」に北の人たちも親近性を感じているのが、この数十年ではないかと思う。岡田温司『イタリア現代思想の招待』のレビューで以下を引用したが、このあたりの相違を説明するのにわかりやすいと思う。

バロックが培ったのは、言語の技術としての修辞ー「機 知」、「才知」、「奇想(concetto)」はその代表ーである。それゆえ修辞とは、たんに外面的な言葉の彩にすぎないものでもないし、ましてや、主体 がみずからの主義主張を他者に押し付けるための道具とみなされるものでもない。そうではなくて、修辞とは、人間存在にとってもっとも根源的で本質的なもの であり、美的でかつ倫理的、実践的でかつ政治的なものである。

たとえば「奇想(コンチェット)」を例にとってみよう。わたしたちは「奇想」という とき、「コンセプト」としての「概念」のことを考えがちである。だが、それは実際には、カント以来のドイツ哲学が練り上げてきた「概念 (Begriff)]とは根本的に異なるもの、否、むしろ正反対のものですらある。というのも、ドイツ語の「概念」は、「つかむ、握る」という意味の動詞 greifen に由来するが、「コンチェット」は、逆に、「受胎する、いだく」という意味のラテン語conceptoに由来するからである。つまり、何かを自分のものに するのではなくて、何かに場を与えることを意味しているのであり、客体を把握しようとする主体の動きではなくて、そうした主客構造を超えて、外から到来す る何ものかを受け入れる心構えのことをさしているのである。それゆえバロックの修辞は、アイデンティティや「リアリティ」やジェンダー等をめぐる近代に支 配的なイデオロギーにたいする異議申し立てにとってもまた、有効な武器を提供してくれることになるのだ。

ここで書かれている concetto に関する記述は、イノベーション議論のコアに使えるのではないかと思う。言い換えれば、「直観思考と分析思考という二分法ではいけない」と語った瞬間に罠にはまっているわけだ。このあたりの地雷の越え方を、「文化選択の時代」に向けて準備するーいや、できるー状況が整ってきたのはあるまいか、というのがぼくの感想だ。



2011年2月10日木曜日

ローカリゼーションマップをビジネスで使っていく

さまざまなデザインに「ローカリゼーションマップの実践を考える」を書いた。

ヨーロッパ文化を事例にローカリゼーションの重要性を説き始めたが、今の日本ではヨーロッパという言葉自身が距離感をもたせることに気づき、ローカリゼーションを前面にして活動をはじめて3月で1年になる。このあいだに、どういうカタチにすれば、これが社会に貢献できるのか、つまり「効く」のかをひたすら考えた。もちろん、ただ考えているだけではだめだ。それを世の中の色々な人にあてて、フィードバックをもらわないとどうしようもないと認識していた。その第一歩が、勉強会の実施だった。ローカリゼーションマップ研究会は、こうしてはじまった。

想いは伝えやすい・・・とみられることがある。しかし、それは想いは曖昧だから伝わったと思いやすいという誤解でもある。想いは当然大事だが、その前に、発信者の趣旨が正確に伝わることが何よりも優先されないといけない。ロジックはこうなんだからと説明する意味で『ヨーロッパの目 日本の目』はエピソードを基に書いたが、分かる人には分かったが、分からない人には分からなかった。もう一つ違うレイヤーでの関心を掬う必要を感じた。

ビジネスに文化理解は必須科目であると語るだけでは、やはり想いの域から出られない。ヨーロッパのブランド戦略の裏側に文化戦略がどんなにあるかと説明しても、少なくない日本の人にはリアリティに感じられないようだった。そもそもブランド戦略自身の大切さに確固たる認識が薄いということもある。しかし、認識は薄かろうがなんであろうが、ここがしっかりしないと長期戦を太く戦えない。

昨年10月からスタートした日経ビジネスオンラインの連載では、日本企業を中心としたローカリゼーションへの取り組みを紹介してきた。確かに違ったレイヤーに声が届くようになった。それも桁の数の違う人々の目に触れるようになった。その後の勉強会やセミナーに参加する人たちの声を聞き、ローカリゼーションというアングルからビジネスを語ってきたことが間違っていなかったと確信した。

海外進出するにあたり、本当に、右往左往している人たちがたくさんいる。

試行錯誤は当たり前だが、ある枠組みを決めない(決められない)ために、いつまでも「俺は市場を分かったと思えない」という不安がつきまとってばかりいる。無駄な精神的負担だ。それだけではない。実に効率の悪い市場理解を常に迫られるのは、経済的ストレスでもある。そこをバサリと切り捨てようというのがローカリゼーションマップだ。これで分かったことにする、というラインをセットするのが術だ。

「なんだそんなことか」と言う君、それは分かっていない証拠だ。

2011年1月24日月曜日

3月3日、ローカリゼーションマップの追加セミナー急遽決定

2月21日(月曜日)の「異文化市場をデザインを通じて理解するーローカリゼーションマップへの試み」をご案内したところ、50名の定員が10日以内に埋まりました。まだ参加希望の方からメールを頂いているので、急遽、3月3日(木曜日)、ひな祭りの日に追加セミナーを実施することを決定しました。

基本的に、2月21日の内容と同じ(つもり 笑)です。しかし、21日に参加される方たちと議論によって得られたフィードバックを反映していきます ので、より進化した内容になっているかもしれません(いや、そうならなくてはいけない!)。21日同様、、カジュアルにいきます。分からないところがあれ ば、その場で質問をいただき、わき道にもそれながらジグザグに進むつもりです。そして、最終目的地を見極めることにします。目的地が見えたら、やはりアー トやデザイン関係のイベントのケータリングを専門にする噂のフルタヨウコさんの登場。 ワインとおつまみを用意いただき、そこからは、どうやって目的地に楽しく到着できるかをワイワイと話しましょう。


参加希望者は、anzai.hiroyuki(アットマーク)gmail.com かt2taro(アットーマーク)tn-design.com までお知らせください。このテーマについて積極的な発言や行動をしてくれる方、大歓迎です。場所は2月21日と同じく麻布十番駅より0分(麻布十番1-10-10 ジュールA 8F)。Retired Weapons プロジェクトなどを世に出してきたドリームデザインのスペース(上の写真)、夢実験室です。

日時:3月3日(木曜日) 1830~2000(セミナー) 2015~2200(懇親会)

テーマ:「異文化市場をデザインを通じて理解するーローカリゼーションマップへの試み」

「国内市場だけではやっていけない、海外進出をしないとどうしようもない」と語るビジネスマンが多くいます。しかし、どう前進すれば良いのか分からなく、一歩を踏み出せない企業も多いのが現状のようです。

日本企業が海外市場で成功していくための鍵は視点としての「現地適合=ローカリゼーション」であると私たちは考えています。そのためには、国や地域 によっても違う文化を踏まえ、生活者から眺めた市場理解が必要です。今回は、その理解の仕方の一つをデザインから掘り当ててみます。

道案内の地図の書き方一つとっても、そこに文化の差異がみえてきます。 目に見えるあらゆるモノやコトのデザインを通じて、日常生活を理解していく。例えば、ヨーロッパの街と日本のそれを比較して気づくことが、台所にも同じよ うにあるのです。日用品、家具、自動車、食などいくつかの事例から異文化市場を理解してみましょう。そして、これをベースとしたジャンルごとのマッピン グ=ローカリゼーションマップの試みを説明します。

ローカリゼーションマップの目的と考え方は以下に要約できます。

→ローカリゼーションマップは、多くの専門家にいちいち聞くことなく、ビジネスの現場で「この市場はこんな風に理解すればいいだろう」という勘を持つことで余計な不安を取り除くことを目的としている。

→ひとつの業界だけでなく、複数業界を眺め渡すためのツールを作ることが目標。ある業界においての常識が、他の業界で有効な見方として使われることもある。その凸凹を見渡すと全体図が描ける。

→なるべく日常生活に近い事例やそこにある落とし穴を見つけながらロジックを理解することをベースとする。

定員:40名

参加費:3000円(懇親会費用を含みます。つり銭のないようご用意くださると助かります)

講師:日経ビジネスオンラインでの連載「異文化市場で売るためのモノづくりガイドーローカリゼーションマップ」の執筆者

安西 洋之(プランナー)
1958年横浜市出身。上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、イタリアでビジネスプランナーとして独立。現在、ミラノ在住。デザイン、食品、文化論などを活動領域とする。著書に『ヨーロッパの目 日本の目――文化のリアリティを読み解く』がある。
ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih

中林 鉄太郎(デザイナー、デザインディレクター)
1965 年東京出身。桑沢デザイン研究所卒業後、建築設計と工業デザインを手掛ける黒川雅之建築設計事務所に入社。プロダクトデザインを担当し10年目に退社後、 1997年テツタロウデザイン開設。文具、日用雑貨から住宅設備機器などのデザイン、中小企 業へのデザインディレク ションも行う。社団法人日本インダストリアルデザイナー協会正会員。日本大学芸術学部デザイン学科非常勤講師。Twitterは@designer_tetsu

主宰:モバイルクルーズ株式会社(安西洋之が代表取締役の会社)

2011年1月14日金曜日

2月26日 ローカリゼーションマップの勉強会(アジア編)

2月19日の勉強会「エスノグラフィックインタビューで異文化市場理解を試みる」、21日のセミナー「異文化市場をデザインを通じて理解するーローカリゼーションマップへの試み」と続くローカリゼーションウィークの最後は、26日の勉強会です。テーマはアジア新興国に目を向けます。昨年7月に、アジア経済研究所ERIA支援室の吉田暢さんに、「アジア」とはなにか?日本をはじめとした先進国は研究というフィールドでアジアをどう見てきたのか?をお話いただき大変好評でした。今回は、デロイト トーマツ コンサルティングの辻佳子さんがビジネスの側面に迫ります。

参加希望者は、anzai.hiroyuki(アットマーク)gmail.com かt2taro(アットーマーク)tn-design.com までお知らせください。議論に積極的に参加していただける方、本研究会の今後の活動に貢献していただける方、大歓迎です。内容に一部変更になる可能性がありますが、その際は、ご了承ください。場所はいつもと同じく、六本木アクシスビル内のJIDA事務局(http://www.jida.or.jp/outline/)です。

2月26日(土)16:00-18:00 「アジア新興国からみた世界と日本ーソーシャルメディアを通じて浮かぶ消費者視点のギャップ」

2004年のスマトラ島沖大地震の際、多くの観光客が死亡あるいは行方不明になりましたが、特に米国やヨーロッパの人たちの多さが際立ちました。不幸な災害でしたが、ヨーロッパや米国とアジアの国々との関係が象徴的に表現されたともいえます。

昨年7月の勉強会「アジアを向いたローカリゼーション」では、アジアの国々にとって「影響力のある外国」は日本だけではない、というあまりに当たり 前の事実が軽視されがちであるとの点が強調されました。日本のファッションがマスで人気があったとしても、所得上昇ともにフランスやイタリアのファッショ ンへ移行する可能性があります。また、中華文化圏とインド文化圏の違いにも注視すべきことが課題にあがりました。

こうした認識を踏まえたうえで、今回はアジア新興国の国々の消費者に近い目線からの日本や世界への見方をテーマにあげます。より文化性の強いとされ る食や日用品などの非耐久消費財、比較的ユニバーサル文化の代表と思われるソーシャルメディア、これらの間にある共通点とギャップを拾いながら語り合いた いと思います。

講師は辻佳子さん。彼女は、本業において日系企業の新興国進出のサポートを経営コンサルタントという立場で遂行しながら、ご自分の個人的テーマとしてアジアの国々を足で巡っています。そのレポートをIT Media エグゼクティブに「女流コンサルタント、アジアを歩く」に連載しています。辻さんの試みは「現在進行中のプロジェクト」ですが、現場で感じるリアリティを大事にしながら俯瞰的な目で語りつつあります。尚、オブザーバーとしてマーケティングとソーシャルメディアのエキスパートである同僚の岩渕匡敦さんも参加されます。

参加定員数:20名
参加費:1500円(18:00以降の懇親会参加費を含む)

講師:辻佳子

1975年横浜市生まれ 1999年専修大学商学部卒業後、日本ダイナミクスとアクセンチュアテクノジーソリューションを経て、2008年よりデロイト トーマツ コンサルティングに勤務。

企業へのITサービスから、オフショア化、中長期戦略および事業性評価などの提言を経験。現在は、新興国進出/撤退支援に注力している。コンサル ティング業務を通して、日本市場の飽和化、日系企業の抱える課題や新興国進出失敗等の状況を目の当たりにし、日系企業・日本の危機が迫っていると実感。そ こで成長期中の新興国市場をリアルに知るために、本業と兼務で新興国訪問に励んでいる。

オブザーバー:岩渕匡敦

デロイト トーマツ コンサルティングのシニアマネージャー。ハイテク、通信分野に深い経験をもち、特にマーケティング、販売、SMCを中心としたオペレーション、IT領域に強みをもつ。複数のグローバルプロジェクトにマネージャーとして参画してきた。

2011年1月13日木曜日

2月21日、ローカリゼーションマップのセミナー

2月19日(土曜日)に開催する勉強会「エスノグラフィックインタビューで異文化市場理解を試みる」は告知後数時間で定員の半数以上の参加希望がありました。日常生活をどう文脈的に捉えるかについて高い関心があることを示してくれています。

さて、ローカリゼーションマップウィークの第二弾は2月21日(月曜日)、「異文化市場をデザインを通じて理解するーローカリゼーションマップへの試み」。昨年11月、新宿のリビングデザインセンターOZONEで同じタイトルのセミナーを 行いました。今回は、その発展系です。一方的に講師が話す形式ではなく、カジュアルなムードのなかで参加者の皆さんと意見を交わしながら進めたいと思いま す。よくある最初にプレゼン、残りの時間がQ&Aではなく、最初のページから「フォントが悪い!」と文句をつけてください 笑。そのあと、東京タワーを眺 めながらワインを片手に皆さんで雑談しましょう。おつまみは、アートやデザイン関係のイベントのケータリングを専門にする噂のフルタヨウコさんに用意してもらいます。


参加希望者は、anzai.hiroyuki(アットマーク)gmail.com かt2taro(アットーマーク)tn-design.com までお知らせください。このテーマについて積極的な発言や行動をしてくれる方、大歓迎です。場所は麻布十番駅より0分(麻布十番1-10-10 ジュールA 8F)。Retired Weapons プロジェクトなどを世に出してきたドリームデザインのスペース(上の写真)です。

日時:2月21日(月曜日) 1830~2000(セミナー) 2015~2200(懇親会)

テーマ:「異文化市場をデザインを通じて理解するーローカリゼーションマップへの試み」

「国内市場だけではやっていけない、海外進出をしないとどうしようもない」と語るビジネスマンが多くいます。しかし、どう前進すれば良いのか分からなく、一歩を踏み出せない企業も多いの現状のようです。

日本企業が海外市場で成功していくための鍵は視点としての「現地適合=ローカリゼーション」であると私たちは考えています。そのため には、国や地域によっても違う文化を踏まえ、生活者から眺めた市場理解が必要です。今回は、その理解の仕方の一つをデザインから掘り当ててみます。

道案内の地図の書き方一つとっても、そこに文化の差異がみえてきます。 目に見えるあらゆるモノやコトのデザインを通じて、日常生活を理解していく。例えば、ヨーロッパの街と日本のそれを比較して気づくことが、台所にも同じよ うにあるのです。日用品、家具、自動車、食などいくつかの事例から異文化市場の理解してみましょう。そして、これをベースとしたジャンルごとのマッピン グ=ローカリゼーションマップの試みを説明します。

ローカリゼーションマップの目的と考え方は以下に要約できます。

→ローカリゼーションマップは、多くの専門家にいちいち聞くことなく、ビジネスの現場で「この市場はこんな風に理解すればいいだろう」という勘を持つことで余計な不安を取り除くことを目的としている。

→ひとつの業界だけでなく、複数業界を眺め渡すためのツールを作ることが目標。ある業界においての常識が、他の業界で有効な見方として使われることもある。その凸凹を見渡すと全体図が描ける。

→なるべく日常生活に近い事例やそこにある落とし穴を見つけながらロジックを理解することをベースとする。

定員:50名

参加費:3000円(懇親会費用を含みます。つり銭のないようご用意くださると助かります)

講師:日経ビジネスオンラインでの連載「異文化市場で売るためのモノづくりガイドーローカリゼーションマップ」の執筆者

安西 洋之(プランナー)
1958年横浜市出身。上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、イタリアでビジネスプランナーとして独立。現在、ミラノ在住。デザイン、食品、文化論などを活動領域とする。著書に『ヨーロッパの目 日本の目――文化のリアリティを読み解く』がある。
ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih

中林 鉄太郎(デザイナー、デザインディレクター)
1965 年東京出身。桑沢デザイン研究所卒業後、建築設計と工業デザインを手掛ける黒川雅之建築設計事務所に入社。プロダクトデザインを担当し10年目に退社後、 1997年テツタロウデザイン開設。文具、日用雑貨から住宅設備機器などのデザイン、中小企 業へのデザインディレク ションも行う。社団法人日本インダストリアルデザイナー協会正会員。日本大学芸術学部デザイン学科非常勤講師。Twitterは@designer_tetsu

主宰:モバイルクルーズ株式会社(安西洋之が代表取締役の会社)

2011年1月10日月曜日

2月19日のローカリゼーションマップの勉強会

ローカリゼーションマップの新年は、日経ビジネスオンライン連載における「ヴェルサイユ宮殿に村上隆が連れてこられた」掲載からスタートしました。何かと話題の多かったヴェルサイユ宮殿における村上隆展をローカリゼーションの視点から語りました。

さて、昨年11月に勉強会を開催してから少々時間がたちましたが、2月は2回の勉強会とセミナーを一挙に行います。一つ目、第7回 は今回のお知らせにある2月19日(土曜日)のエスノグラフィクインタビューをテーマとします。その翌週はセミナー+交流会を平日夕方に開催。このセミ ナーは「デザインを通じて異文化市場を理解する」という内容でぼくと中林さんの二人で講師をします。そして第8回目、2月26日(土曜日)はアジア新興国 ビジネスに関する勉強会です。後の二つの詳細は追ってお知らせします。

参加希望者は、anzai.hiroyuki(アットマーク)gmail.com かt2taroo(アットーマーク)tn-design.com までお知らせください。議論に積極的に参加していただける方、本研究会の今後の活動に貢献していただける方、大歓迎です。内容に一部変更になる可能性がありますが、その際は、ご了承ください。場所はいつもと同じく、六本木アクシスビル内のJIDA事務局(http://www.jida.or.jp/outline/)です。

2月19日(土)16:00-18:00 「エスノグラフィックインタビューで異文化市場理解を試みる」

エスノグラフィーという言葉をさまざまなところで耳にするようになりました。文化人類学や民俗学で従来からある現地調査方法ーエスノグラフィックリ サーチーをビジネスのフィールドに適用して注目を集めつつありますが、新しいサービスや製品の開発にあたって活用されることが多いようです。

一方、富士通は業務改善を目的とするフィールドワークにおいて、現場の実態把握のためにエスノグラフィーを利用していま す。犯罪捜査のための「認知インタビュー」やエスノグラフィック・インタビューなどを統合したインタビュー手法を開発し、実践に使っています。文脈も含め て、どうリアリティある全体像を掴まえるか?です。

今回、この手法を開発した富士通の矢島彩子さんを講師に迎え、ローカリゼーションマップへの応用の可能性を語っていただきます。異文化市場や複数業 界を手短にトータルに把握することをローカリゼーションマップの目標の一つとしていますが、エスノグラフィーや心理学、社会学などの伝統的な調査手法がビ ジネスや異文化市場理解のために、どう使えるか?という議論に発展させていきたい考えています。

参加定員数:20名
参加費:1500円(18:00以降の懇親会参加費を含む)

講師:矢島彩子

1996年岩手大学大学院人文社会科学研究科修了,2001年聖心女子大学文学研究科博士後期課程単位取得退学.同年(株)富士通研究所入社.主 に,情報提示のユーザビリティの研究を行いながら,エスノグラフィーをベースにした業務実態を把握するフィールドワーク手法(主に聴く手法)開発に従事し た後,2006年10月より,富士通(株)へ異動,現在に至る.お客様のフィールドイノベーションに自ら寄り添ってきたが,2009年10月より,顧客に 近いフィールド・イノベータの支援部隊に身をおき,彼らを通して顧客を知ることで企業におけるフィールド主体調査の意義とそのあり方に日々葛藤をしている 最中。

最近、顧客の世界(ある種の文化)にいかに寄り添う度量があるか否か、というところも重要ではないかと感じている。2007年から和歌山大学工学研究科博士後期課程(デザイン工学、山岡俊樹教授)で手法の開発とその普及のモデルについて現在研究・勉強中。

2010年10月8日金曜日

ローカリゼーションマップ研究会の勉強会(10月と11月)

今年3月末にキックオフ したローカリゼーションマップ研究会ですが、半年を経て第二ステップに入ります。一つ目は今月後半から経済誌オンラインでの連載スタートです。二つ目は活 動領域の拡大です。もっと色々なところに顔を出していこうと思います。そのなかで、従来の勉強会も定期的に開催していきます。以下、5回目と6回目の実施 要領です。

参加希望者は、anzai.hiroyuki(アットマーク)gmail.com かt2taroo(アットーマーク)tn-design.com までお知らせください。議論に積極的に参加していただける方、本研究会の今後の活動に貢献していただける方、大歓迎です。内容に一部変更になる可能性がありますが、その際は、ご了承ください。場所はいつもと同じく、六本木アクシスビル内のJIDA事務局(http://www.jida.or.jp/outline/)です。

10月28日(木)18:30-20:15 「アメリカで寿司を食べる人はカップ麺を食べる?」

世界で寿司はブームではなく定着をはじめたといわれます。もちろん国によって違い、あるところでは定着し、あるところはブームになる兆候がみられる ということだと思います。しかも、それは日本人の舌に満足する寿司が必ずしも基準になっていません。だが、そこに大きなマーケットが広がっているのも事実 です。東京のイタリアンが日本人向けにローカライズされているように、海外で外国人が食べる和食も寿司を筆頭に日本とは違ったものになっています。メキシ コではカップ麺に辛みをつけて食べるといいます。

今回は海外における日本食の受容をテーマとし、食評論家の横川潤さんにお話いただきます。日本食が海外で浸透するにいたった過去の流れをおさえなが ら、現在、どのようなカタチで、どのような層に、どのような日本食が受け入られているのか。これらを具体的な事例に沿いながら、食の受容が意味することに ついて考えていきます。

参加定員数:20名
参加費:1500円(20:30以降の懇親会参加費を含む)

講師:横川潤
1962年長野県諏訪市生まれ。すかいらーく創業者・端を父に持ち、飲食店を庭として育つ。慶大大学院村田昭治門下でマーケティングを修め、NY大で MBAを取得。1994年『レストランで覗いたニューヨーク万華鏡』柴田書店)でデビュー。以後『美味しくって、ブラボーッ!』(新潮社)『東京イタリア ン誘惑50店』(講談社)など多数の著書を上梓。アメリカの食ガイド『ザガット』を翻訳してわが国に初めて紹介。『ルイ・ヴィトンシティガイド東京 2009』レストラン部門を執筆。『FRaU』『週刊現代』『FLASH!』等々の連載を抱えて今日に至る。(株)ローソン等の顧問を歴任。海外日本食レ ストラン普及振興機構(JRO)委員。近著は『恐慌下におけるA級の店選び究極の法則』(講談社+α新書)現在、文教大国際学部国際観光学科准教授(フー ドサービス・マーケティング論)。

11月4日(木)18:30-20:15 「スウェーデンの歯ブラシから世界がみえる」

歯ブラシは、箸やスプーンと同じく毎日の生活に馴染んだ道具です。一日2回歯を磨く人が5歳から80歳まで歯を磨くと、トータルでは54750回歯 磨きをします。一ヶ月に1本歯ブラシを取り替えると、912.本必要となります。ただ、箸やスプーンと違い、デザインにより目的達成度にかなりの差異がで るのではないかと思われる道具です。ですから、膨大な種類の歯ブラシを前に懸命に研究を重ねる人が多数いる一方、呆然として立ち尽くし「まあ、どうでもい いや」と何も考えずに逃避的に選ぶか、それなりにはっきり分かれやすい道具ではないかとも思います。

今回は、この歯ブラシをテーマにします。80歳以上の自分の歯の平均本数が、日本と比べて三倍以上といわれる予防歯科先進国のスウェーデンにおい て、前述した二つの態度が日本と比較してどうなのか?それが歯ブラシの形状やサイズとどう関連してくるのか?歯ブラシを取り囲む文化コンテクストをス ウェーデンで歯科を勉強された田北行宏さんにお話いただきます。

参加定員数:20名
参加費:1500円(20:30以降の懇親会参加費を含む)

講師:田北行宏
1982年 東海大学海洋学部入学 1984年よりカリフォルニア州メサカレッジで生物学専攻 1991年 日本大学松戸歯学部入学 1997年同校卒業 1997年 日本歯学センター勤務 2000年 青山、田北歯科医院開業 2005年 スウェーデンNAL総合病院口腔外科に留学、現在、日本歯学センター勤務

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2010年8月4日水曜日

ローカリゼーションマップ研究会の8月の勉強会

ローカリゼーションマップ研究会の勉強会、8月のお知らせです。

先月、7月の勉強会は2回実施。 どちらも色々な分野から多くの方に参加いただき、これから日本企業が活性化するにあたり、ローカリゼーションが重要な視点であるとの認識がじょじょに芽生 えつつあることを肌で感じました。一回目は「明日の日本発を描く試み」として日本デザインの動向を整理。 二回目は「アジアを向いたローカリゼーショ ン」。アジア研究の動向と住宅機器の海外市場戦略の一端をご紹介しました。

さて、今月の勉強会は以下要領で実施します。参加希望者は、安西洋之(anzai.hiroyuki(アットマーク)gmail.com) か中林鉄太郎(t2taro(アットマーク)gmail.com) 宛てに、お知らせください。あるいはTwitter上で@anzaih か@designer_tetsuあてに#lmap を入れて参加希望と書いてく ださい。議論に積極的に参加していただける方、本研究会の今後の活動に貢献していただける方、大歓迎です。内容に一部変更になる可能性がありますが、その 際は、ご了承ください。


2) 8月16日(月曜日) 1830-2030 六本木JIDA事務局
(http://www.jida.or.jp/outline/)


「ローカリゼーションの基礎を学ぶ」


ローカリゼーションという言葉は、対象市場の法的規制や文化的に期待される言葉やカタチあるいは色などに適合させる作業を指す、比較的一般的な言葉です。 しかし、コンピューターソフト産業が拡大するにつれ、ローカリゼーションといえばソフトウェアの現地化を指し、ローカリゼーション産業といえば、言葉やソ フトウェア(インターフェースも含む)の周辺と限定されることも多いようです。

一方、ローカリゼーションマップ研究会は、オリジナルの意味に近い広義の視座を提供することを目的としています。しかしながら、狭義のローカリゼーション を基礎知識として学んでおく必要も同時にあると考えます。この理解が、ハードやサービスの商品企画にあたり何を最初に考えないといけないのか?の助けにな るはずです。そこで、世界に数千人規模のスタッフを抱えるこの分野のリーダー的存在であるナスダック上場会社、ライオンブリッジ(http://www.lionbridge.com/lionbridge/ja-jp.htm)のお二人を講師に招き、お話いただきます。

ソフトウェアに関わる方が知識整理を目的に参加される方ももちろん歓迎ですが、ソフトウェアのローカリゼーションノウハウを他の分野に応用する意欲をお持ちの方、今回の勉強会は見逃せないはずです。


―グローバリゼーションとは何か?国際化とどう違う?
ーローカリゼーションとは何か?(特にソフトウェアローカリゼーション)
―ローカリゼーションプロセスとその事例
―Q&A

参加定員数:20名
参加費:1000円

永島 和暢(ながしま かずのぶ)

1976-83まで製造会社勤務後、アメリカに渡り1984年にKansas State UniversityでMS in Industrial Engineeringを取得。帰国後、システム会社勤務を経て、再度渡米1996年にUniversity of Texas at Austin でMBA を取得。1997年よりライオンブリッジ ジャパン株式会社にてSolutions Architectとして様々なローカリゼーション業務のシステム作りをしている。


古河 師武 (ふるかわ おさむ)

1996年大学卒業後、広告代理店勤務。1998年に渡米し、2002年にCalifornia State University, FullertonでBA in Communicationを取得。その後、ロサンゼルスの広告代理店に勤めながら2005年にCalifornia State University, Long BeachでMBAを取得。2009年よりライオンブリッジ ジャパン株式会社にてアシスタント セールスマネージャーとして海外進出する企業へ向け、 ローカリゼーションのコンサルティング、ソリューションを提供している。


→ローカリゼーションマップ研究会とは?

ローカリゼーションマップ研究会をJIDA東日本ブロックのデザインプロセス委員会でキックオフしたのが今年3月。それよりTwitterの #lmap やリアルで討議や勉強会を重ねています。そして、目標としては、来年、ローカライズされたモノを陳列し、その背景を説明した展覧会を開催することを考えています。

2010年7月19日月曜日

ローカリゼーションマップ研究会の勉強会(7月)

7月も半ばを終わろうとしている時に、7月の案内をするのも気が引けるが、24日と31日、以下要領の勉強会を予定している。8月のプログラムも現在、検討中。とにかく、走りながら考えていく。それゆえに不手際や未熟な点もあろうが、それゆえにどうなるか分からない面白さがある。ご寛容に....


<以下案内>

ローカリゼーションマップ研究会をキックオフしたのが今年3月。その後、Twitter上で#lmapを使って色々な情報や意見を集めてきました が、定期的な勉強会で各種のローカリゼーション事例を通して情報を共有していくことにしました。そして、目標としては、来年、ローカライズされたモノを陳 列し、その背景を説明した展覧会を開催することを考えています。

今月の勉強会は以下要領で実施します。参加希望者は、anzai.hiroyuki(アットマーク)gmail.com かt2taroo(アットーマーク)tn-design.com までお知らせください。あるいはTwitter上で#lmapに参加希望と書いてください。議論に積極的に参加していただける方、本研究会の今後の活動に貢献していただける方、大歓迎です。内容に一部変更になる可能性がありますが、その際は、ご了承ください。

1) 7月24日(土曜日)1500-1700 なかのデザインプラットフォーム
中野駅より徒歩7-8分 (http://www.tn-design.com/)

「明日の日本発を描く試み」

日本のデザインを促進するプロジェクトが「新日本様式」や「感性価値創造」という名称で推進されてきましたが、日本デザインとはどのように見られる ことが多いのか?その見方はビジネス的にポジティブに働くのか?等をテーマとします。最初にアクシス編集部・記者の神吉弘邦さんにプレゼンしてもらいま す。ミラノサローネでの日本企業の展示や「世界を変えるデザイン展」に対する反響なども織り交ぜ、ここ数年の日本デザインの動きを整理してもらいます。そ の後、パネルディスカッションを行います。

参加定員数:15人
参加費:1000円

講師:神吉弘邦
1998年、慶應義塾大学(SFC)環境情報学部卒。日経BP社「日経パソコン」編集記者、メタローグ「recoreco」創刊などを経て、2002年よ りアクシス「AXIS」編集部。この7月より、現代社会を「デザインの切り口」で考えることをコンセプトに、フリーランスとして「AXIS」ほか複数のメ ディアで活動。テーマは、プロトタイプデザイン、インタラクションデザイン、都市デザイン、産業とデザインの連携、ユニバーサルデザイン、自動車文化の継 承、文芸とデザインの融合など。Twitterは@h_kanki

2) 7月31日(土曜日) 1600-1900 六本木JIDA事務局(http://www.jida.or.jp/outline/)

「アジアを向いたローカリゼーション」

今、アジアの新興市場に多くの企業の目が向いています。特に、ボリュームゾーンの市場確保に関心が高まっています。そもそも「アジア」とはなにか? 日本をはじめとした先進国は研究というフィールドでアジアをどう見てきたのか?などをアジア経済研究所ERIA支援室の吉田暢さんに話してもらいます。 ローカリゼーションを考えるにあたっての基礎的素養の一例を学ぶという位置づけです。

その次に、住宅機器のローカリゼーションとはどのようなプロセスを経て判断・決定されるのか?を元TOTOのデザイナーである橋田規子さんにプレゼンしてもらいます。特にアジア向けと限らず、日常生活視点から市場を把握することの意味と重要性について語ってもらいます。

これらのプレゼンの後、7月24日の「明日の日本発を描く試み」の結果要約をお話しし、アジア市場向けのローカリゼーションは何を考えればよいかをディスカッションします。

参加定員数:20名
参加費:1500円(1900以降の懇親会参加費を含む)

講師:吉田暢
2001年、東京学芸大学国際理解教育課程欧米研究専攻卒後、JTBで法人営業。その後、ジェトロに転職。現在、アジア経済研究所ERIA支援室リサーチ コーディネーションオフィサー。東アジア経済統合を推進するために日本政府が設立した国際機関である、東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)の立ち上げおよび経営支援、研究プロジェクトのコーディネーション、PR業務等に従事。Twitterは@44D44D

講師:橋田規子
1988年、東京芸術大学美術学部デザイン科卒業後、東陶機器株式会社(現在TOTO株式会社)入社。商品研究所生活研究課にて生活者トレンド研究、商品 企画提案。1991年以降、同社デザインセンター第一デザイン課にて便器、水栓金具、洗面器などのデザイン、2000年より、デザインセンター第二デザイ ンGにて洗面化粧台、浴室、浴槽、キッチンのデザインに携わる。2005年からデザインセンタープロジェクトデザインGのデザインディレクター。2008 年、同社退社。芝浦工業大学システム工学部機械制御システム学科教授に就任。2009年より、同大学デザイン工学部デザイン工学科教授。

2010年5月14日金曜日

ローカリゼーションワールドを考える

来月7-9日、ベルリンでローカリゼーションワールドというイベントが開催される。展示と会議の両方。ソフトウェアの意見が強そうだが、サービス産業を中心に幅広くローカリゼーションを扱っている印象を受ける。

http://www.localizationworld.com/

このサイトの中にスピーカーのプロフィールが掲載されている。100人以上のそれを読んでみたが、主流は明らかに言葉の専門家だ。通訳や翻訳がバックグランドの人。マーケティングもいるが、プロダクトのプランニングに直接関わっていそうな人は思いのほか少ない。

http://www.localizationworld.com/lwber2010/speakers.php

つまり、前工程ではなく後工程に従事する人が多いのでは? 通常、マーケットやユーザーにより近いのは後工程だが、ローカリゼーションは製品のコンセプト構築の段階からタッチしている人間が関与すべきという考え方がどれほどに浸透しているのだろうか?という疑問が残る。

ヨーロッパ人が多そうなのは、この開催地がベルリンだからだろうか。それだけでなく、EUの多言語主義もあり、ヨーロッパにはローカリゼーション産業が発達しやすい条件があるからと考えるべきか。やはり、イメージや形状の差異ではなく、まずは言葉の差異が何よりもバリアになる。ここは最低要求ライン。

そして、言葉による表現はロジックそのものと密接な関係をもつ。昨日、ぼくはイタリア語のse vuoi(if you want) を食事などの誘いではなく、自分の依頼を人に受けてもらう時に使うことへの違和感を払拭できないと、「イタリア文化が分からない」というタイトルのブログを書いた。

http://milano.metrocs.jp/archives/3322

日本語の「すみません」が本来の謝る意味を離れて潤滑油的な機能を果たしているのと同じく、se vuoiも丁寧な依頼表現であったのが、依頼側の立場を守る方便に変わり、そしていつの間にか、方便であること自身をも意識しなくなったのではないか・・・とあれこれ想像してみた。かように、ロジックは不可視で頑固なものだ。理解しづらい。ソフトウェアのロジックのローカリゼーションが、色やアイコンのローカリゼーションより(コンセプト構想上)優先されるべきというのは、こういう認識に基づいている。

が、だから言語表現が全ての収斂の場所であると考えると、これも道を誤る。言葉で全て表現しきれない世界に人は生きているという意味もあるが、言葉の専門家は言葉の専門家であるだけで、その他を見切れているわけではないということもある。ある言葉の表現の差異を理解し説明できることが、必ずしも文脈全体の差異を理解し説明できるとは限らない。いわんやアイコンなどの視覚表現への理解度はまた別の経験や能力を要する。

こういう観点から、ぼくはローカリゼーションマップ研究会の趣旨を考えているわけだが、ローカリゼーションワールドのスピーカーのプロフィールではファッション関係が一人だけ。食品や日用品の専門家が少なそうなのは、ローカリゼーションという分野あるいは産業が、日本に限らずこれからのものであることを示唆しているといえそうだ。あるいは、デザイナーなどの参加がもっとあっていいように思う。

上述したヨーロッパはローカリゼーション産業が発達しやすいという部分だが、これはヨーロッパ内でローカリゼーションのバリアが比較的はっきり見えていて、そのバリアが困難を極めるほどではなかったー各国文化の近似性ーという理由が考えられないだろうか。いずれにしても、ローカリゼーション産業の現状を知ることで、ローカリゼーションマップ研究会(Twitter上では #lmap) の行方を考える参考になる。

2010年3月31日水曜日

ローカリゼーションとは敬意の仕方

3月20日に六本木AXISにあるJIDA(社団法人インダストリアルデザイナー協会)で行った、デザインプロセス委員会のローカリゼーションマップ研究会キックオフについては「さまざまなデザイン」で即日に書いておいた。

http://milano.metrocs.jp/archives/3047

その後、色々と協力関係がもてそうな人や団体と話し合いをしたり、Twitterのログをどういうカタチで議論しやすいようなプラットフォームにもっていくかを検討している。内需不足で海外に進出するしかない住宅産業がローカリゼーションの問題に頭を悩まし、同様に国外ビジネスを増加させていきたいが、そのノウハウがなくて困っている中小企業も多いと聞く。結局のところ、ローカリゼーションのノウハウは個々の人やメーカーに蓄積されているに過ぎず、それが全体としてみることができないから、多くはテクニックの次元に即入ってしまう。テクニックが必要ではあるが、それは最後に来る話で、最初に来てはいけない。

入り口の見せ場としての事例である限りにおいてテクニックはよいが、そのテクニックに至った思考プロセスを理解できないと、応用がきかないから大きなミスをする。また、「全てはローカリゼーションしないといけない」という逆のプレッシャーに追い立てられ発想の貧弱な企画しかできない羽目に陥ってしまう。こういう問題点を解決するすべを提供していくことが大切だと思う。文化論がここまで重要になってきているのにも関わらず、ビジネス書のなかで文化論は殆ど省みられていないといえるし、文化論を専門とする人たちがビジネスの世界に貢献する方法が分かっていない。

こういったことはどこの世界でもあるといえばそれまでだが、少なくても「ローカリゼーション」というアイテムを囲んで、文化人とビジネスマンがどれほどに議論したことがあるか?と問えば、実に怪しい。あったとしても多くの結論は、「いわゆる文化は難しいね」というところだと思う。そこから一歩出て行くこと。それも果敢に。ローカリゼーションは相手側に全て従うということではない。差異にセンシティブであることは求められるが、その差異をなくすことがローカリゼーションの目的ではない。

ローカリゼーションとは二つが見合ったときの敬意の仕方ではないかと考える。

2010年3月18日木曜日

JIDA東日本ブロック・デザインプロセス委員会

以前からお知らせしているように今週の土曜日、六本木のAXISビル内JIDA(日本インダストリアルデザイン協会)のデザインプロセス委員会が開催され、このなかでローカリゼーションマップ研究会が発足しますので、ふるってご参加ください。

http://www.higashi.jida.or.jp/


東日本B デザインプロセス委員会 & 交流会
日時3月 20日 (土), 16:00 ~ 20:00
場所JIDAギャラリー(六本木 JIDA事務局) (地図)
説明  ◆◆ 「デザインプロセス委員会 & 交流会」開催のご案内 
◆◆ 東日本B・デザインプロセス委員会  代表 : 中林鉄太郎 

この度東日本ブロック・デザインプロセス委員会では、来年度のための活動計画をテーマとした委員会と、交流会を開催することになりました。 また、来年度は勉強会、交流会だけでなく、部会活動として、ビジネスで活用できる文化理解のための「ローカリゼーションマップ」プロジェクトを推進していくことになり、そのキックオフも兼ねております。JIDA会員でない方も多数出席される予定ですので、年度末のお忙しい時期とは存じますが、多数の方のご参加をお待ちしております。
注釈:ローカリゼーションマップとは http://european-culture-note.blogspot.com/2010/02/blog-post_24.html

◆テーマ「平成22年度の活動方針策定と部会活動について」   http://jida-design-process.jimdo.com/
◆日時: 平成22年3月20日(土)  委員会 16:00~17:45  交流会 18:00 20:00
◆場所: JIDAギャラリー(六本木 JIDA事務局) 港区六本木5-17-1 AXISビル4F http://www.axisinc.co.jp/
◆定員: 25名程
◆参加費(交流会費含む): JIDA正会員・賛助会員・会友=1,500円、一般=2,000円、 一般学生=1,000円、学生会友=無料
◆申込 下記返信票に記載の上、JIDA事務局までご返信ください。 JIDA事務局  E-mail:jidasec@jida.or.jp Tel:03-3587-6391 Fax:03-3587-6393

2010年3月14日日曜日

ローカリゼーションマップに正解はない

昨日は中野で来週土曜日にAXISビル内で開催する「ローカリゼーションマップ研究会」キックオフミーティングの事前打ち合わせ。JIDA(日本インダストリアルデザイン協会)のデザインプロセス委員会の活動の一部としてもらうが、会員デザイナーだけでない外部の人たちも多く参加してもらうという会。僕自身も会員ではないし、昨日も学生さんや国際交流基金の方に来ていただいた。

デザインプロセスの前段階の土壌を豊富にしていくことは、ジョン・ホールデンのいう「政治が文化を造るのではなく、文化が政治を造る」という内容と相似で、「ビジネス活動が文化を造るのではなく、文化がビジネス活動を造る」ということになろうが、文化がビジネスを造るとはどういうことなのか?が、この研究会で可視化できればと考えている(以下は、ジョン・ホールデンの講演会で思ったこと)。

http://milano.metrocs.jp/archives/3031

政府や文化機関の行う文化政策的なポイントや下から出てくる日常性の強い文化-今であればYouTubeに代表されるデジタル文化の多くがここに立脚するーにプラスして、コマーシャル文化があるが、このコマーシャル文化への突っ込み方が、今までのアプローチでは弱かったのではないかと感じた。この点をローカリゼーションマップ研究会は、それぞれのモノやコトにある世界観をマッピングしていくのが重要だろう。

基本的に議論のレベルに合わせたネットでの住み心地をよくすることが大事で、かつ誰もが検索エンジンなどからアクセスできる状態にしておくのがいい。クローズドな環境では進めにくいプロジェクトであると思う。また、繰り返すようだが、このローカリゼーションモデルにおいて「正しい解答は存在しない」ということをよく認識しておく必要がある。特にデジタル環境の発展速度を考えると、静的状況把握は意味の薄いものになる可能性が高い。しかし、デジタルとは距離をもっている人たちの文化が、冷蔵庫や洗濯機のローカリゼーションへの期待度を強いことを考慮すると、この非デジタル文化への注視が重要でないことはない。

2010年2月27日土曜日

「設定」を巡る文化差

前回、ローカリゼーション研究会の趣旨を書いてから、Twitter上の#lmap でじょじょに賛同者が集まりつつある。ローカリゼーションは対象を文化適合させることだから、国だけでなく世代文化にも関わってくる。したがって間口が広いため、比較的幅広い人たちの協力が得られるのではないかと思う。

ある大学生が、「機器の設定を変更すれば、使い勝手がよくなるのに、どうしてそうしない人が多いのか?」という疑問を書いていた。携帯やPCなど電子機器を中心とすると、そのような発想になる。一方、TVや自動車、冷蔵庫を中心に生きてきた人たちにとって、「設定」を変更するという発想自身乏しい。ダイヤル式の黒い固定電話に「設定」などなかった。プッシュフォンになり、番号の短縮化や記憶化が進み、ケータイでそのバリエーションは膨大になった。「設定」を巡る、この文化差の指摘、時間による文化差の解消は面白いテーマになると思う。

何が「設定」の標準項目になるかの選別は、何をユニバーサルと考え、何をローカライズするかの基準設定の問題になる。どういう項目であれば、地域文化差の話になりーたとえば、住所表示を通りの番号から書くか、郵便番号から書くかなどー、あるいは文字の大きさなら視力のレベルの話になる。今からたった10年数前、ケータイの着信音に電話をかけてくる相手によってバリエーションをもたせることは、まだ一般的な技術として普及していなかった。しかし、現在、極めて当たり前のものになっている。が、それ以前の電話に馴れている人たちは、あえて着信音を「設定」する必要性を感じないこともある。

「そうすれば、便利なのに・・・」と言われても、何が便利なのかさっぱり分からない。が、一度、その便利さを理解すると、その機能を採用していなかった自分がとても愚かだったと思う。「設定」の敷居はものすごく高そうで、しかし、思ったより低いこともあるというわけだ。

問題は、敷居の越え方である。敷居の設計の問題なのか、敷居の見せ方の問題なのか、あるいは超える人間の能力や心理的要因に多く起因する問題なのか。こういったことを文化的側面から見つめていくことが、ローカリゼーションマップ研究会のテーマの一つになるだろう。

2010年2月24日水曜日

ローカリゼーションマップ研究会のキックオフ

昨日、デザイナーの中林鉄太郎さんと会った。事前に以下メモをお送りしておいた。その結果、3月20日(土曜日)、六本木AXISビルにあるインダストリアルデザイン協会内でキックオフミーティングを開催することになった。プロジェクトプロセスをできるだけオープンにするため、Twitter( #lmap)やその他で常時発信していくことにする。対象はハードとソフトの両方の製品だけでなく、アートや文学も領域に入れる。

<プロジェクトの趣旨>

今、プラットフォーム構築の主導権を握る重要性が盛んに語られる。そこに利益の源泉があるからだ。しかし、日本企業がプラットフォームのリーダーになることはあまりない。それを日本文化の伝統ゆえであると解説する向きもあるが、そう解説したところでビジネス上の解決には至らない。

過去、海外の文化情報が日本に蓄積されてきた。あるいは日本文化の分析も膨大だ。だが、それがどれほどにビジネスに活用されてきただろうか。メーカーの商品開発に生かされているか?ソフトの設計に生かされているか?否としか言わざるを得ない状況が多数だ。

どう文化を理解すれば、こういう形でビジネスに活用できる。そういう事例が示されないと、多くの人がビジネス上の文化理解の必要性になかなか気づかない。いや、正確に言えば、何となく気づいているが、その先に行けない。靄のかかった奥に入り込めない。これを案内するのが、ローカリゼーションマップ研究会の役目だ。

1、ローカリゼーションマップ研究会は何をやるのか?

日本人が好む茶碗はフランス人が好む茶碗とは異なる。日本人が好む茶碗がフランスでは売れにくい。携帯電話に期待するローカリゼーションと洗濯機に期待するそれは異なる。洗濯機にはユーザーの国のロジックが定着している。そして、その変化のスピードが携帯電話ほど早くない。こうやって、それぞれのモノやコトから違ってみえる世界観を具体的に描いていく。なぜ違うのか?そこに時間軸はどう関係してくるのか?を考えながらマップを作成していく。

このマップを見ることによって、自分が扱う製品の世界での位置づけが分かってくる。あるいは、文化の理解の仕方がみえてくる。

2、アウトプットは何か?

可視化されたものであることが重要。電子と紙の書籍化を目指す。タイトルは「2015年のローカリゼーションマップ」とし、現在から5年後に日本の製品が海外市場からどのような(どのレベルの)ローカリゼーションを要求されているかを予測する。これは主観的であることを基本とする。世界各地の正確な文化把握を基調として考案していたら金と時間がいくらあっても足りない。想像を含め個人的な経験をもとに大胆に考えていき、それを他メンバーとのディスカッションでより実効性の高い成果を出していく。複数の主観の重なり合いが見所のひとつとなろう。

3、プロジェクトの進め方

インダストリアルデザイナー協会のデザインプロセス委員会の2010年度(2010年4月ー2011年3月)のプロジェクトとして扱っていただき、そこを母体として外部の人間も参加する形をとる。定期的なリアルとヴァーチャルのミーティングを基本とし、早い段階での個々の参加者の第一次アウトプットがプロセスの進め方として重要。

2010年2月13日土曜日

「ワインで考えるグローバリゼーション」

ヨーロッパの本ではないが、ヨーロッパ文化部の活動にとても参考になる本なので紹介しておく。山下範久『ワインで考えるグローバリゼーション』だ。以下にレビューを書いた。

http://milano.metrocs.jp/archives/2895

ローカリゼーションマップを構想していくにあたり参考になる本だ。一昨日、池袋のジュンク堂で書棚を眺めながら、思ったのだが、モノを介した文化史の本はそれなりにある。箸、酒、食、服飾・・・・と。しかし、どうも薀蓄の域を出ていない感じがつきまとう。それぞれの思い入れが強いのが伝わるが、これで今の何が語れるか?が不足している(ような気がする。本屋で全部読めるわけがない)。

その意味で、『ワインで考えるグローバリゼーション』はタイトル通りの目的を果たしているだろう。少なくても、このレベルの意識があってビジネスをしないといけないだろうと思う。

2010年1月31日日曜日

ローカリゼーションマップの本を作れないか

2週間ほど前、ローカリゼーションマップを作れないかとのアイデアを書いた。その後も、このことについて考えている。数日前から日本にいるが、これをどうプロジェクト化するかに頭を捻っている。できれば本にできないか、とも考えている。ムック的でややユーモラス溢れる本だ。

必ずしも、各エキスパートが正確な知識や情報に基づいて描く必要はなく、「こういう考え方ができるのではないか」というイメージ提案ができればよいと思う。そのために、「ローカリゼーションマップ研究会」とでもいうべきチームをボランティアベースで立ち上げ、意見交換をしながらカタチにできないかと思うのだ。

製品ごとにもつ世界観の違いを基点に文化の全体像がみえてくる・・・そういう構想だ。製品企画の人たちの参考資料になることもあるかもしれないが、それは該当業界からすれば「ちょっと違うかな」という違和感があってもいいレベルを良しとするから、ポイントは各業界を超えた全体像に迫ることを目指す。

このことで滞在中、いろいろな人に話してみようと思う。