二つの文化の企業の間にたって仕事をしていてよく目にすることは、片方の企業が「ここだけ変化すれば何とかなるはずだ」と考えれば、もう一方は「そこだけ変えただけでは、変えたことにならない。全体から変える必要がある」と主張しがちであるということです。それは日本の企業がこうだ、ヨーロッパの企業がこうだではなく、いずれにせよ違う文化が相対せば、そのようになるのがかなり必然であるという意味です。
そこをあまりしつこく主張すると、「そんなこと言ったって、これが自分たちの文化なんだから仕方ないだろう!」と開き直ります。それはそうです。それで上手くといわないでも、それなりに回っていれば、そこまで変える動機がありません。よって危機的状況に陥ったときに、目を覚まさないといけなくなる。
ブランドに対する認識は、このように日本のモノがヨーロッパで存在感を失ってきて初めて分かり始める時期ではないかという気がします。「自分たちの製品モデルは、ヨーロッパと比較して圧倒的に多いので、ヨーロッパメーカーのようには綺麗におさまらない。しかし、このバラバラな感じが日本的で良いのだ」と弁解を重ねてきた人達も、実は、「ブランド構築ができていなかったから、その場その場で対応する羽目になり、結果的にバラバラになったのだ」というロジックを十分に理解していなかった。が、そろそろ、それが分かってくる頃ではないかと思います。クルマメーカーなど、この代表例です。
日本はディテールから出発し、西洋は全体のコンセプトからはじめる。それが江戸時代の大名屋敷とフランスの城の外観に表現されるわけですが、それがブランド力という面でみたとき、ヨーロッパ市場でマイナスに作用している現実を直視しないといけないでしょう。サムスンやLGのような韓国メーカーが、大量の携帯電話モデルを作っており、それは実情として一見日本メーカーと同じように見えるかもしれません。しかし、「まとめ方」でマシな方法をとったがゆえに、違ったブランドイメージを確立できたといえそうです。
今、ぼくは文化を理解することで商品が売れた実例を集めようと考えています。キッコーマンの醤油などもそうでしょう。コカコーラもそうだと思います。でも、なるべく今まで事例として挙がってこなかったモノやサービスで、文化理解の重要性を知ってもらいたいと思います。そこにリアリティがあるだろう、と。
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