昨日、ヨーロッパ企業がアジアの拠点として「日本を選ばない」ひとつの、しかし大きな理由に「漠然とした不安」があることを書きました。日本の多くのビジネスマンは日本が情報流通のなかに入っているから、外とつきあうかどうかは自分の選択でどうにでもなると思っている傾向が見え隠れします。ところが、その情報の渦のなかではなく、案外、渦の周辺に位置していることを認識しないといけないでしょう。「日本には全ての情報がある」のではなく「日本でも一部の情報はとれる」ということです。
先日メッセージをくれたベルリン在住のバイオリン職人・茅根健さんも、ヨーロッパの一流楽器店は韓国や中国に拠点をおく傾向、あるいはアメリカ信奉が強すぎる日本の楽器業界という実情を伝えてくれました。楽器の場合、音楽関係のヨーロッパへの留学生が圧倒的に中国と韓国出身が多いという現況との絡みもあるのではないかとも思うのですが、それは進出地判断の全てではないだろうと想像します。彼自身も、こうした状況に風穴をあけたいと考えはじめたようです。
ブログを読んでの感想です。
実は前から気になっていたのが、アメリカやヨーロッパの一流楽器店がアジアの流通拠点として日本でなく、韓国や中国を選び、そこに職人を駐在させ るということです。安西さんが今回のブログで書いていたことを読んで、このことが再び頭をよぎりました。なぜ日本ではなくて、韓国や中国なのだろう?とい う疑問が。
バブルのころは世界中のディーラーが良い楽器も悪い楽器もこぞって売りに来ましたし、また日本のいわゆる業者(ディーラー)もこぞって買い漁りました。
が、アジアが今後も楽器マーケットの中で軽視できない存在となっている今、彼らは日本でなく韓国や中国を選びます。この辺気になるので、8月のア ムステルダム訪問で少し話を聞いてみようと思います。アムステルダムには世界的に有名なディーラーの一人がいます。彼が今の楽器マーケットをどう感じ、今 後をどう予想するのか興味がありますね。ただ、かなり忙しい人なのでそういった時間をさいてくれるかどうか分かりませんが。トライしてみます。
また、先日アトリエで話した時に出た話題です。楽器業界も一時アメリカがけん引した時期があります。確かに戦後、アメリカにおいて多くの銘器と言 われるものが取引されましたし、そういったことを背景に製作や修理の分野でも革新的な進歩もアメリカを中心に行われました。でも、今良く観察してみると、 アメリカはそのころと今も変わっていないということです。つまり、まるで時間が止まってしまったように動きがないというのです。また非常に閉鎖的とでも言 いましょうか、いまだにアメリカが世界中の楽器業界をけん引していると誤解している人が多いということ。日本の業者さんもいまだにアメリカ信奉的なところ がなくもないです。まだまだヨーロッパのディーラーと対等に付き合いが出来ているかたは非常に少ないと個人的には思っています。自分はそういったところに 少しでも風穴が開けられればと、考え始めました。
それでは。
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