茅野健さんのドイツの師匠が言われた事には、確かにうなづけるのですが、一方、ドイツの職人の世界では、 昔から、一定の修行を終えて Geselle として、自由行動を許された若ものが、 他所の土地を回って修行する事(Wanderschaft) が、マイスターの試験を受けるための必須の条件でありました。 20 世紀の後半にも、部分的には現実におこなわれていて、 二人組の大工の職人が、固有の制服を着て、 徒歩で旅をしているのに出会ったことがあります。違った土地、 習慣、文化、 人々に出会って識見を広める事が其の意味であったようです。 (Wikipedia: Wanderjahre より。職業の異なった若い職人が、旅の途中で出会う。)
今では、医師、弁護士、若手の研究者、将来は専門家として身を立てたいと思っている大学生( あるいはギムナジウムの学生)は、 進んで機会を求めて国外へでてみるようです。世界が flat になればなるほど、自分の、 そして自分の社会の立ち位置を他との比較で明確に把握する必要が ありますから、 内向き引きこもり傾向がますます強くなる日本にとっては、 昔のドイツの職人の養成過程で義務づけられていたWanders chaft (日本の場合、海外での修行)を、 大学卒業などの最終試験の受験条件にするくらいの発想がむしろ必 要なのではないかと思います。
2009年8月5日水曜日
若者の旅修行
ベルリン在住のバイオリン職人である茅根健さんは、イタリア、オランダ、ドイツの他の都市の工房で修行を積んできたわけですが、先日の記事「バイオリン職人「ちのけん」の目標」に対して、八幡さんからコメントをいただきました。自分たちの技量に自信をもつことが世界を知らなくてよいという陥穽にはまらない、いわば謙虚さをいかに持続するか、そういう問題点を指摘されています。
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