2009年5月18日月曜日

任天堂にみるローカライズ

東洋経済オンラインを眺めていたら、DSやWiiでヒットを飛ばしている任天堂の社長インタビューのなかに、製品開発と文化について触れている部分があったので引用します。

――任天堂の商品は海外でも支持されています。開発段階から海外展開を意識しているのですか。

 人が何を面白いか ということに関しては、文化に根差しているものと、人が普遍的に感じているものがあるのではないかと思います。ただ、人が何を面白いかということを測定す る方法もなければ、理論も確立されていない。われわれは、あくまで仮説を立てて、それに基づいて行動しているにすぎません。それでも、なるべく多くの人が 興味を持ってくれそうなテーマを探していますが、「脳トレ」をつくったときやポケモンのキャラクターを展開したときに、世界中に受け入れられるとわかって いたかというと大いに疑問ですね。

 ポケモンを海外展開する際に、現地の関係者が言ったことを今でも忘れません。「こんなかわいいのはモ ンスターじゃない」と。米国で売りたいならこうしろと、筋肉ムキムキにした企画案の絵が送られてきた。そのときに前社長の山内溥(現相談役)は「成功例が ないのなら、なおのことチャレンジする価値がある」と言いました。娯楽はほかと違うから価値があるわけで、違うものがうまく行ったときにはすごく大きくな る。日本のまま変えずに行け、というのが山内の示唆でした。

 「脳トレ」も最初から勝算があったわけではないけれども、多くの人が興味を持ったということは、日本人の感性は世界に十分通用することを証明したのではないでしょうか。

――海外展開の際に、バージョンを変えるケースもあるのですか。

  ソフトによっては「ローカライズ」と「カルチャライズ」を意識します。ローカライズというのは単純に言葉を変えるだけなのですが、カルチャライズというの は現地の文化に根差した要素を足すということです。例えば「脳トレ」のときは少し工夫をしました。発売時点で川島隆太先生(脳トレの監修者、東北大学教 授)の知名度が国内とは違っていたので、興味を持っていただくきっかけをつくりたいということで日本生まれのパズル「数独」を(海外バージョンに)入れま した。数独は英国や米国で流行していたのですね。


娯楽分野は自動車や家電と違い、ローカリゼーションをしない分野といいます。ソニーのプレイステーションも〇Xなど日本の記号をそのまま使っています。任天堂の岩田氏は、「ローカライズ」と「カルチャライズ」と使い分け、ローカライズを狭義に使用しているようです。ぼくは、これはこれでいいのだと思うのですが、「日本人の感性は世界に十分通用することを証明したのではないでしょうか。」という言葉が気になります。海外市場で受けたのは、感性なのでしょうか?


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