先週、六本木の国際文化会館で勉強会を主宰しました。業界を超えた十数人の方にお集まりいただき、最初の40-50分がぼくの側からの話題提供、残りの2時間余が皆さんとのフリーディスカッションです。話題提供は、6月に日欧産業協力センターのセミナーで話した内容が中心ですが、最後のまとめに「ものの見方」を出しました。
議論の中での、ある方の発言「ヨーロッパでは目標は目標であり、それが達成できるかどうかを日本ほど強く求められない。目標をたてることに意味があり、結果、未達であっても日本ほど責められない」には大いに頷くものがありました。目標自身への考え方の違いがありますが、ぼくは、この発言からヨーロッパ統合を推進したジャン・モネのことを思いました。
ヨーロッパのあり方では、何かが上手くいかなかったとしても、それは手段や手順のまずさであり、目標自身の設定について反省することはあまりありません。だから長年のプロセスを経てEUが成立したのであり、日本でよくある「目標設定が悪かったと反省し、ゼロから出直します」という考え方では、EUは成立しなかったであろうということを、ぼくはモネの「回想録」を読んで思ったのです。
日本のよさのひとつは道徳的優位性であるとするなら、目標に対する考えの違いは、世界での道徳的優位性に役立つのだろうか?ということがテーマになるのではないかと思うのです。約束を守るとかいうことは信義上の問題として道徳圏内として、計画の目標は圏外ではあるまいか?という意味で、我々が損をしない評価軸はどこにあるのか、自分の文化定義とヨーロッパの文化定義をエレメント的にもっと突き詰めることが必要と思われます。
もちろん文化をどこまでブレイクダウンできるかは難しい問題ですが、それを諦めていると、話はまるっきり前進しません。どうにかして前進させるための試行錯誤をやるしかありません。今週の水曜日も他の場所での勉強会です。そのあたりでひとつの実践的方向性をみつけたいと考えています。
尚、「さまざまデザイン」に「石倉洋子『戦略シフト』を読む」を書きました。日本に来てから1週間に至らぬ時点でどんなことを思ったかの記録でもあります。
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