2009年12月12日土曜日

ダブリンーチューリッヒーミラノ

「さまざまなデザイン」に今週アイルランドに滞在して感じたことを書いた。

http://milano.metrocs.jp/archives/2551

あそこでいつも思うのは、EUとアメリカの近さだ。リスボン条約の批准がアイルランドの国民投票の結果もあって時間がかかったが、ブラッセルの動きに敏感な国だと思う。やはりアメリカと近い隣の国がまだポンドから離れないのと対照的。その頑固でない部分で、アメリカの影響力を上手く使っているのがアイルランドともいえるだろう。ある調査によれば、自国にプライドがあると回答するのは、ポーランドとアイルランドが(ヨーロッパのなかで)高いというが、両国とも近隣の大国に長い間振り回されてきたという歴史がある。

先週でかけたスイスも、大国に挟まれている小国だが、アイルランドとは違いEUにも入らない。しかし、便宜上はEUとの壁を随分と低くしてきている。スイスとアイルランドの違いは、大陸特有の多言語圏がもつ「国際性」と英語圏でありながらマージナルであるところからくる「国際性」であろうか。アイルランドが、スイスのようにEUに入らないで独自路線を築くというのは考えにくい。文化的伝統は維持しながら、ヨーロッパに意図的に近寄っていないといけないのがアイルランドだ。

イタリアはヨーロッパのなかの大国である。ローマ条約に象徴されるように、新しいヨーロッパの形成に貢献してきた。しかし、大国のなかでは、若干マージナルな扱いをされやすい。そこで、「ある頑張り」と独自性がより要求される。ローマ帝国以来の歴史と文化が重要なブランドであるが、そこに胡坐をかいていればよいということでは当然ない。どちらかといえば、南ヨーロッパ文化が北ヨーロッパの退屈さに風穴を開けることに意味があるかもしれない。

この三カ国の組み合わせをキープすると、結構、従来にない形のヨーロッパを示すことができるのではないかーもちろん、どんな国の組み合わせでも可能なのだがーと考え始めている。

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