2009年11月9日月曜日

相手にすべき対象はもっと大きいかもしれない

昨晩、ミラノに戻りました。今日のミラノは雨です。そこで二本のブログを「さまざまなデザイン」に書きました。今週読んだ本を二冊とりあげました。管啓次郎『本は読めないものだから心配するな』立花隆・佐藤優『ぼくらの頭脳の鍛え方』です。趣向の全く違う読書案内ですが、結局、人は分かるところまでしか分からず、分からない地平を分からないとどう自覚するかにかかっているというのが、二つの本に関する共通点です。あるいは真空地帯で見知らぬ吸入口に惑わされないための力をもっていないといけない、というのも両者に通じる内容でしょう。

一昨日、明治大学で宮下芳明さんの講演会『「面白さ」の計算科学:エンターテイメントコンピューティング~その誤解と真実』で、コンピューターは100%の完全性をもっていないことを前提に、インターフェースが設計されないといけないという指摘がありました。これはぼくも同じ認識をもっているので、「そうか、時代の方向はこちらと考えていいのだな」と思いました。ただ、こういう分野は、往々にして「方向さえ合っていれば」が端緒であり全てであることがあるので、その矢印の及ぶ範囲の目測を誤ってはいけません。真空地帯の見極めです。

「文化とビジネス」をテーマに色々と考えてきましたが、ヨーロッパ文化部が相手にすべき対象は、もっと大きいのかもしれません。そういうことを思う日が何日かありました。文化自身のもつ力と範囲の認識や、その出力の方法に貢献すべき課題がもっとあるのではないか、と。

そういう意味で、ヨーロッパ文化部はいわばマーケティングをさらに重ねる必要があるとの自覚を新たにしました。逆に、われわれが話す内容に意味があると思われるには、相手がどこの地平までを見ているかを知らないといけないということでもあります。

活動は継続してこそ意味があります。

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