2009年1月28日水曜日

フランスでセカイカメラがどう評価されるか




先日の東京滞在中、頓智ドットの井口さんと久しぶりに会い、色々とお話しをしました。

彼は昨年9月にサンフランシスコで行われたTech Crunch50でセカイカメラを発表し、ネット技術の世界で一気に時の人になりました。YouTube で、その時のプレゼンを見ることができます。
iPhoneをもって街に出かけ、カメラを目の前にあるモノに向けると、そこにさまざまな情報がタグされています。セカイカメラがみせてくれる世界とは、リアルに対する仮想空間という構図ではなく、今あなたがいる現実をより豊かにしようという願いと仕組みが根本にあります。この彼が自身のブログでVCの動きについて、こういうことを書いています。

http://d.hatena.ne.jp/roadracer/20081231

<ここから>

細かい事をはぶいておおざっぱにまとめると、国内VCでは海外市場向けの展開を積極的に支援しているところが圧倒的に少ないことと、国外VCは、逆に日本のITスタートアップの海外展開をはなから相手にしていない。

でも、これらも根拠があって、まず国内VCはファンド規模が総じて小さくキャピタリストの海外経験も乏しいうえ、国内がそれなりに規模が有るため海外市場への積極進出を支援する際のバックグランドを形成するインセンティブがそもそもなかった。そして、海外VCにしてみれば、シリコンバレー中心のウェブ生態系以外から新しいシードを探して投資育成する価値が見いだし得ないということに尽きるだろう。

考えてみれば、TC50出場時の仲間達(つまりシリコンバレーのITスタートップ達)はまだまだシードの段階なのに数億のファイナンスを受けており、これは下手すると国内IT企業新興市場で獲得する資金に匹敵する!)、まずもって資金的なベースが全く違っていた。

<ここまで>

何がこういうメカニズムの差異を生んだのかは実に興味深いのですが、この日米比較から進んで、来月初旬にパリで行われる NetExplorateurで革新的なネット技術10に選ばれた授賞式とスピーチの準備に触れた今日のブログもまた面白いです。フランスの先端技術志向とそのロジカルな思考プロセスに感銘を受けています。

http://d.hatena.ne.jp/roadracer/20090128

<ここから引用>

それはともかフランス人のテクノロジー好きは日本人あるいは米国人とまた異なった独特のテイストがあって面白いですね! NetExplorateurのページにあるセカイカメラ解説記事(社会学的考察)を読むと相当ショックを受けます。なにしろ触った事の無いプロトタイプをここまで思考的に深耕できるというのはある意味想像を超えています。そしてちりばめられた哲学的かつ詩的な言葉の数々!米国流が「まず最初に結論」「最初に製品を見せるべき」「寸秒を惜しむ姿勢」「数字もロジックも簡潔明瞭に」といった合理主義精神の塊なのと比べると、対極とも言えるマニエリスム的感性が本当に素敵です。開発した我々さえ掘り下げられていないところまで深く深く掘り下げてあります。

<ここまで>

拙著の関連部分をあえて挙げると、「フランスの三つの災難」「ワードとパワーポイント」「解説を読む人 読まない人」「欧州人の直感と日本人の直感」あたりが、井口さんの上記の文章と絡んでくると思います。日本からみる近代合理主義が如何に米国経由の歪んだものかという点が浮き彫りにされています。こうしたフランスの対応に関する井口さんのコメントを拝見するにつけても、是非とも新しいタイプのビジネスで成功して欲しいと願わずにはいられません。

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