2009年4月17日金曜日
ヨーロッパを俯瞰するメディアがない
ヨーロッパをどう俯瞰すればいいのか、あるいはどういう手段で俯瞰できるのかということをヨーロッパ文化部ノートでは思案しています。その探索の一つとしてぼく自身、毎朝、1時間くらいで10-15のヨーロッパ各国紙・誌オンラインのトップページをざっとチェックしています。どうすれば「勘」を鍛えられるか?というトレーニングです。今日、その問題に触れている記事をオランダのサイトで見つけました。
http://www.nrc.nl/international/Features/article2214904.ece/Getting_Europeans_to_talk_to_each_other
このコラムは、ヨーロッパを全体としてみようとすると以下のメディアくらいしかなく、中央銀行や議会もあるのに、どうしてその役割に相応しいメディアがないのか?というのです。
International Herald Tribune
The Economist
Financial Times
各国紙の積み上げでは断片的な姿しか浮かび上がってこないではないか、もっとヨーロッパについてヨーロッパの人達が議論しあえるプラットフォームをもつべきだというのです。この状況をオランダの社会学者SWAANは「ヨーロッパの真空」と呼んでいます。ただ、それを打破する動きがないわけではなく、下記のようなサイトがあります。
Cafebabel
EUobserver
Eurointelligence
European Voice
Europe&me.
ドイツ政府のファイナンスを受けている Eurotopics は毎日各国新聞記事から要約をし、詳細はオリジナル記事にリンクしています。こういう色々な試みがありますが、どれも大きな影響力をもつには至っていません。議論が盛り上がる舞台は各国メディアであり、「インテリは大学か自国メディアで稼ぐ」事情は、世界共通のようです。しかも一般の人は、隣国で生じている現象に個別の事件以外にはさほど興味がなく、議論のための共通プラットフォームを求める勢力そのものが弱いのです。
ヨーロッパの社会的に共通の問題、例えば、ティーンの飲酒、ドラッグ、セックス等の問題が英国で一番大きく注目を浴びても、それに対して大陸側は人事ではないのだけど、なんとなく後回しにしがちであったり、フィンランドは逆に飲酒率が下がっているにも関わらず、それは英国で大きく取り上げられないとかアンバランスをぼくも感じています。そして、こういう現象が経済的状況とリンクしているか?という問題意識をもつことで、もっと立体的にヨーロッパが把握できるはずなのに、そういう話題が日々のオンラインニュース上では見えてこないことが不満でした。
結論として、ぼくはこの記事を読んで、要するに自分でやるしかないんだと思いました。どこかのメディアが圧倒的に強くなるのは、ある特定分野や趣味に限ったことが多いと考 えるべきで、とりあえず今のところ「これを読めば、ヨーロッパの全体が分かる」というものがないことを確認するのは、「ヨーロッパの俯瞰的な分かり方」の コツを習得する以外には(今のところ)ないのではないかと思います。理解度にはもちろん差は出ますが、ある集中力と持続した関心をもてば日本人でもできない話ではない、少なくても一般の欧州ビジネスマン並の「勘」をもつことは超難問ではないかもしれない、と楽観的なことを思いました。
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