2009年4月20日月曜日

白洲次郎は文句を言えばいいのか?





NHKが3月に放映したドラマ「白洲次郎」を見ました。これはミュージカルなのだろうか・・・と思いました。ミュージカルはテーマとなる内容を伝える場面で、通常ではありえないことですが、突如登場人物たちが歌い踊ります。このドラマでは、歌ではなく、次郎と正子が英語で会話するわけです。もちろん、この二人が英語で喋りあったことは事実なのかもしれませんが、ぼくにはミュージカルの歌のシーンに思えてしかたがなったのです。皆、この場面をどう思ったのだろうかと好奇心が湧き、番組の掲示板を覗いてみました。下のURLです。

http://www3.nhk.or.jp/drama/drames/drama/211/page_001.html

今日時点で700以上のコメントがあります。ぼくは400近いコメントに目を通しましたが、この場面をミュージカル的と記している人はぼくの読んだ限りではおらず、やや意外感をもちました。それではぼくの感想は個人的に胸のうちにしまっておこうと思い(と、言いながら、こうブログに書いているのですが)、もう一つのことを考えました。「今の日本に、マッカーサーに文句を堂々というような、次郎さんがいれば!」という意見が多いことです。

白洲次郎は大戦を止め切れなかった近衛文麿を結局のところ説得しきれなかった。単身、英国に向い有力者の前で日英の衝突を避けるべく説得を試みるが、それは現実的な解決には一向に至らなかった。そして、今(あるいは今もって)、日本の憲法はGHQの押し付けであるとの声が多いなかで、白洲次郎はまさにその渦中にいた。それでいながら、マッカーサに天皇のクリスマスプレゼントを届けた時、司令官の態度がフェアではないと文句を言うエピソードが過大に持ち上げられる。外国人に文句をずばりと言えば、結果がどうあれ、それはそれでいいと皆さん思っているのだろうか・・・そう感じました。

ぼくは白洲次郎とEU統合の父と呼ばれるフランス人のジャン・モネに多くの共通点をみます。ベースにビジネスマンの感覚があり、政治家にはならずとも公的な役割を時機に応じて果たし、その立場だからこその自由な意見を力ある政治家が耳を傾けた。そして、それらの経験が生き、前者は通産省の土台に力を尽くし、後者は欧州石炭鉄鋼共同体を設立していく。モネは欧州間の共通利益の確定と、そのための実現策にエネルギーを注いだわけですが、仮想物語ですが、もし白洲次郎も同じような考え方をしていたとすると、白洲次郎自身の構想は実現していない別のことだったのだろうなと思います。

話を元に戻すと、こうした文句を言うことが現在の日本にないわけではなく、現実、政府関係者やビジネスマンの現実の世界で大いにあると思うのですが、それが大局を作りえていないことに焦燥感があるのではないかと考えます。それが「今の日本に次郎さんを!」という声になるのだと思いますが、少々行き過ぎた感がします。

2 件のコメント:

  1. 所詮はコマーシャリズムに踊らされて、本人の実像は伝わっていません。鶴川の武相荘に行けばわかりますが、美化されすぎです。それに3回目をなんで夏に延ばすのでしょうか? 2人が英語で会話をしていたのは非現実、うそっぱちですよ。 私は彼が現存していた70年代後半に鶴川街道と行為州街道の交差点をテールを滑らせて曲がっていった白いポルシェの老人が彼だとわかったのは25年後でした。 今の日本の彼がいても何の役にも立たないのは明白ですよ。

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  2. Hero 129さん

    ありがとうございます。

    NHKの掲示板によれば、吉田茂役が病気のために連続して収録ができず8月放映にするとあります。

    ご本人はそういうつもりでもなくても、後の社会が持ち上げ過ぎ、ご本人も墓場で困っているかもしれませんね(苦笑)。

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