2009年2月9日月曜日

MADE IN JAPANブランドの復活-1




日本製品は「過剰品質」ではないかという指摘が繰り返しなされてきましたが、その「過剰論」を指摘している記事が日経BPのTechonにあります。製品のメッセージの伝え方の重要性を指摘しています。当然でしょう。

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20090206/165317/?P=1

しかし今や,製品機能は複雑化し,ちょっと見ただけではその良さを理解できない状況になってきた。以心伝心の日本国内ならまだしも,海外では「つくった だけ」では受け入れてもらえることは難しい。「売りづくり」や「ことづくり」と言われるように,「ものづくり」という概念を,単に生産部門に閉じるのでは なく,顧客に設計情報を的確に届けるというトータルな活動として「拡張」することが,これまで以上に重要性を増していくのだろう。


<中略>

コモディティ化が進んだ低価格な領域で日本など先進国のメーカーが利益を上げるもっとも最適な方法は,当コラムでも何回か書いているように, プラットフォームを形成して,その中から外部のグローバル市場をコントロールすることである。プラットフォーム作りに関しては,欧米企業が強みを発揮して おり,日本企業は一部で頑張っているものの,それでもプラットフォームの外で頑張るしかないケースも多い。そうしたケースでは特に,日本企業が高品質・高価格なところにポジショングして,その下の部分は新興国のメーカーに譲るという流れは,歴史的,そして倫理的にも避けられないことなのかもしれない。

ただ、このプラットフォームの形成の弱さに諦めが漂っているところが気になります。まさしく、昨日指摘したコンセプトの作り方に時間をかけるかかけないかという問題は、ビジネス現象として、プラットフォームの勝負に勝つか負けるかという分岐点を表します。日本製品が高品質・高価格にポジションをもつ動機付けの一つに「プラットフォームを作るのは苦手」ということがあり、これを克服しようとの意志と方策をもたない限り、なかなか長期戦の主人公になれないでしょう。

この記事の筆者が、2年ちょっと前に、「ものづくり」ではなく「売りづくり」という言葉の紹介を以下のようにしています。

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20061010/122084/?P=1

日本企業の伝統的な考え方は,まず現場のものづくり力を磨く→その結果として製品が売れる→さらにその結果として利益が出る――というものである。それに 対して,欧米企業の考え方は,その逆だと言われている。まず利益を出すことを考える→そのための製品を企画する→さらにそのためにものづくりを活用する ――と「方向」がまったく逆である。

確かに欧州の会社はより利益率重視ではありますが、上記は単純化しすぎていないかとも思います。「方向が全く逆である」とぼくは思ったことがありません。でも、ここでは立命館大学大学院 経営管理研究科教授の濱田初美氏の指摘の部分を引用します。「2番手の人材を海外に出している」というのはどうかと思いますが、文化理解の必要性を強調している点はヨーロッパ文化部ノートの趣旨と一致しています。

「売りづくり」を進めるための人材育成の重要性を説いたのが濱田氏であった。グローバル市場で成功している企業は,その国の文化に精通した人材を育成して いると言う。母国と担当する国のどちらの暮らしぶりにも精通し,そして両文化を許容できる「二重市民」を育てるほどの徹底振りだという。こうして,その国の消費者のニーズをくみ取って「売りづくり」を進めるのである。これに対して日本企業は,そうした文化に溶け込むような努力が足りず,もともと「社内で最 も優秀な人材でなく2番手の人材を海外に出しているのではないか」と濱田氏は手厳しい。

以下は2008年の特許出願件数動向ですが、これらの数字を眺めていて、特に会社別で1位に中国メーカーが出てきているところをみると、高級品質・高価格の戦略は早晩行き詰るのではないかという気になります。

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