2009年2月8日日曜日

MADE IN JAPANブランドの復活-0





英国誌『エコノミスト』が日本の電気業界の落下ぶりを以下のように伝えています。この最後のコメント欄をクリックして見えてくるのは、MADE IN JAPAN の存在感の低下です。が、それだけではなくこの現象が、欧州の人達にとって決して分かりやすいとは思えなかった戦略の結果である点にも気づきます。

http://www.economist.com/research/articlesbysubject/displaystory.cfm?subjectid=348969&story_id=13059765

さて、ぼくが「ヨーロッパ文化の理解」の必要性を強調するのは、他でもなくMADE IN JAPANブランド 復活のためです。残念ながら(?)教養主義を懐かしむためではありません。内需経済重視云々の論議は脇におき、自分の製品を世界中に売るために、何がユニバーサルな文化であり、何がローカルな領域であるかを把握するためのワンステップとしての「ヨーロッパ文化理解」です。上記のコメントのなかにも、「日本製品はインターフェースに弱い」という指摘があります。文化理解と大いに関連してくる分野です。

1月28日、「セカイカメラはフランスでどう評価されるか」(以下)を書きました。現実拡張としてのiPhoneの新しいアプリケーションを提案し、パリでのNetExplorateurにおける授賞式に向けての準備段階の井口尊仁さんのフランス文化に関する感想を紹介しました。

http://european-culture-note.blogspot.com/2009/01/blog-post_28.html

その井口さんが昨日パリのリュクサンブール宮殿で行われたイベントの模様を早速、自身のブログ頓智・日記でこう報告しています。

今回は、これも前日ギリギリまで粘って会場(=元老院=リュクサンブール宮殿)にエアタグを設置して、その場でライブ状態でお見せしたのですが、やはりデモビデオやスライドよりもこれが一番受けました。とにかく印象的だったのが、テレビ、新聞、雑誌などの既存メディアや元老院議員、銀行家、弁護士、博物館長など、エスタブリッシュメントにすごく歓迎されたことで、この勢いだと日本の総理大臣と面会するよりもフランス大統領と会談する方が早いのでは?と(いや、何を話し合うのだ?というポイントは全く不明ですが)。

コンセプトの受けがとても良かったようです。それもいわゆるネット世代ではなく、その上の世代や業界外の人達からも評判が良かったことがキーです。そして、以前にも紹介したように、新先端技術をどのような社会文脈におくかが盛んに語られたかと記しています。

とにかくITを含んだ先端技術をエコノミーやイノベーションとして語るだけでなく哲学的領域や社会学的文脈で理解・消化しようとする(傾向の強い)彼らの発想はユニークだと思いますし、産業見本市的な日本流のITイベントや TC50に代表されるようなイノベーションとエコノミーの化学反応を最大化しようとする米国(なかでもシリコンバレーですね)の流儀と比較して、より「人類的見地」とか「思想としての技術」とかに光を当てようとする今回の様なイベントは(どういう効果があるのか?は、僕もよく分かりませんが)非常に面白かったです。

井口さん自身、大学では哲学を勉強し、その後ソフト業界に入った人です。その間、松岡正剛氏とも仕事をしたことがあります。彼のフランスでの受けに対する面白がりを読み、ぼくは、ここにポイントがみえると思います。コンセプチュアルな議論に「如何にウンザリしないか」、これが欧州市場に入るための大きな資質であり素養ではないかと考えています。


<ここで書いていることは、もう一つのブログ「さまざまなデザイン」(http://milano.metrocs.jp/)で書いている「ミラノサローネ 2009」とリンクしています>

2 件のコメント:

  1. こんにちは、tatsuyaと申します。安西さんとは大学のコミュでお世話になっています。2月に入ってから安西さんの記事はどれも興味惹かれますね。

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  2. tatsuyaさん

    コメントありがとうございます。今のところ、かなりガンガンと書いていきます。

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